仮想通貨でアルトコインを買ったまま放置して損している人も確定申告で納税義務があるぞという話
前置き
まず、下記の問題を読んでみて下さい。
問.Aさんは2018/1/1に約158万円で1ビットコイン(BTC)買いました。
同1/5に「調べてみたらリップル凄い、こないだ1XRPが200円から400円まで上がった。よーし全部リップル(XRP)に変えよう」と思ってその1BTCを海外の取引所で6775XRPに変えました。
しかし、相場は大きく下落し、2018年11月22日現在のXRP/JPYは約48円になりました。
Aさんの6775XRPは時価33万円ほどです。
Aさんは158万ー33万=125万円の損失を出した事になります。
Aさんは「価格は落ちてしまったが、リップルのファンダは素晴らしい。いずれまた400円を超す筈だ」と考えて手元の6775XRPをガチホする事にしました。
さて、このまま2018/12/31を迎えた場合、損失を出したAさんは確定申告をして2018年分の納税をする必要があるでしょうか?
(なお、総平均法を使うものとする)
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答えとその理由がわかっていた方はもうこの記事読む必要ないです。
ブラウザバックしていただいて大丈夫です。
問.Aさんは1月に158万円で1ビットコイン買いました。その後1BTCが180万円に値上がった時に海外取引所で1BTCを6775XRPに変えました(1XRP=265円)。しかし相場は下落し1XRP=49円になり、Aさんの6775XRPは時価33万円になりました。Aさんは125万円の損失を出した事になります。
— 単眼愛(モノアイ) (@mono_i_love) November 23, 2018
このまま12/31を迎えた時
え?損しているのに納税しなきゃいけないの?と思われた方へ。
2018年の年始、仮想通貨はバブル絶頂でした。
その時にビットコインを購入し、更にそのビットコインでアルトコイン(イーサリアム、リップル、etc)を購入された方も多いと思います。
そして2018年11月現在は相場が大きく下落しており、損切りできずアルトコインを塩漬けにしている人、いわゆるガチホをされている方もいらっしゃるはずです。
将来また上がるかも?と期待して取引所やウォレットに置きっぱなしにしていませんか。大きく損失を出してしまったから、自分は税金関係ないやと思っていませんか。
・・・残念ながら、上記の例のように納税が必要なケースがあります。
本記事は上記の内容に思い当たる人向けに書いています。
サンプルの取引を整理
では、上記で示したサンプルの取引内容を整理してみましょう。
(レートはinvesting.comを参照しています。@:単価)
①2018/1/1:BTC/JPYペア 1BTC@1,587,760円 購入
②2018/1/5:XRP/BTCペア 6557XRP@0.0001476BTC 購入
(1/5のレートで計算すると、6557XRP=1BTC=1,819,531円)
この2つの取引に整理できます。
ポイントは②で、これは「仮想通貨同士の交換」にあたります。
国税庁的には、「BTCを売って得たお金でXRPを買った」のと同じ扱いになります。
1/5のXRP単価は 0.0001476BTC × 1,819,531円=268円 なので
1BTC買った(@158万円)→1BTC売った(@181万円)→6557XRP買った(@268円)
と解釈できます。
この流れの「1BTC売った(@181万円)」時に
「おぅ、ワレ23万円の利益出してるやんけ。20万円以上の雑所得だから確定申告して税金払えや」
と国税庁は仰っています。
ちなみに仮想通貨同士の交換ではなく、仮想通貨で決済した場合も同じ扱いになります。(例:モナコインでコーヒーを買った、飲食店でNEMを使って決済した…etc)
国税庁のExcelにサンプル内容を記帳
では、実際に国税庁が公開した仮想通貨の計算用Excelに記帳してみましょう。
(手数料や経費は省略します。)
Excelは仮想通貨の種類ごとに分類する必要があるので、まずはビットコインの分です。(摘要は分かりやすい表現にしました)
上記のように仮想通貨の売買内容を記帳します。
円でBTCを買った分は「2.年間取引報告書に関する事項」、BTCでXRPを買った分は仮想通貨同士の交換なので「3.上記2以外の取引に関する事項」に書きます。
去年買った仮想通貨が残っている人は「4.仮想通貨の売却原価の計算」に残高を記入します。
するとExcelが自動で売却価額・売却原価・所得金額を計算してくれます。
ここでは231,771円の所得があったと示されます。
リップルの分も別のシートに記帳してみましょう。
こちらは、BTCでXRPを買った分だけ記帳します。
当然買っただけなので、所得金額は0のままです。
合計すると、231,771円+0円 = 231,771円の所得です。
確定申告は20万円以上の雑所得があった場合に申告義務が発生するので、今回のケースでは確定申告が必要となります。
税率は累進で5%~45%。他の所得(例えば給与所得等)と合算した額に応じて決まります(いわゆる総合課税)。
一般的なサラリーマンの方なら20~30%は余裕で持っていかれるかと。
更に、ここへ住民税の10%や復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)が追加されます。
じゃぁ、どうすんの
損失を確定して下さい。
サンプルの例で言えば、保有している6775XRPを他の通貨に変えたり、1度日本円にします。
Aさんの様に真剣にXRPの将来に期待をして保有し続けるなら、再度XRPを買い直すのも良いです。
その場合、次のようになります。
サンプルのExcelには、bitbank.ccの取引所でXRPを一度日本円に変えてから同値でXRPを買い直したことを想定して記帳しました。
そうすると、一度XRPを売却して損失を確定した事になるので、所得金額は以下のように-744,415円となります。
これで所得金額の合計は、231,771円(ビットコイン)ー 744,415円(リップル)= -512,644円
晴れて収支マイナスになったので、確定申告の必要はなくなりました。
手元に残るのは同じ6775XRPですが、損失を確定するかしないかだけで、確定申告義務が発生するか否かが大きく変わります。
補足:損失を確定し過ぎるのも良くない
というのも、株やFXと違って、仮想通貨で出た損失は翌年に繰り越せません。
例えば株なら
- 2017年 -50万円
- 2018年 +40万円 → 前年の損失を繰り越して40万ー50万=-10万円なので納税不要
という事が出来ますが、仮想通貨では出来ません。
今年はもう利益でなさそうだなと思ったら翌年の頭に損失を確定して、その後に出る利益(出るとは限らないが…)と相殺させた方が節税になります。
なので、12月になったら納税額を試算し、所得金額をプラマイゼロになるよう調整するのが良さそうです。
以上、税理士でもなんでもない個人のメモ書きみたいな内容なので、あくまで参考程度にしていただければ幸いです。
ていうか間違っていたらTwitterで教えて下さい。お願いします、なんでもしま…